『コペルニクス的転回』、『コペルニクス的発想』という言葉がありますよね。
ポーランド出身のコペルニクス(1473年-1543年)という天文学者が、当時主流であった『天動説』を根底から覆す、『地動説』を唱えたことが言葉の由来になっています。今から500年近く昔の話で、当然今のように宇宙に人が行くことは不可能で、同じ地球内であっても、遠く離れた所と通信が出来るような環境ではないため、今のように『知』に対してオープンな環境では無い時代のことです。
天動説、地動説について簡単におさらいしておくと、天動説というのは、宇宙には色々と星がある中で、地球がその中心となっており、地球はその場にずっと止まり続けて、太陽を含めた他の星がその周りを回っているという考え方です。中世のキリスト教世界では、『神が太陽も月も人類も創り、神の意向により地球が中心となっている』ということが宗教的な教えとの整合性が取りやすく、長く利用されていたのだと思います。
ただ、中にはその事に疑問を持つ人たちもマイノリティーではありますが現れていて、地球の方も動いているんじゃないかと考える人たちも出てきます。当時は、その考え方を持つこと自体が、神への冒涜とみなされ、そういう人たちは異端児として罰せられ、ひどい時には処刑されることすらあったそうです。
そのような厳しい環境の中で未来に真理を繋ぐために命を掛けていた人たちのストーリーが描かれた漫画が『チ。-地球の運動について-』です。地動説は、コペルニクスが有名ですが、コペルニクスが初めて唱えたものではなく、それ以前から、そういう研究をしている人がいて、そこがこの漫画のメインの部分になります。
天動説、地動説の論争が宗教的な支配の手段として利用されていたり、知識というものの重要性や、思想への制限など、今の日本では考えられない世界が疑似体験出来、大変面白い漫画でした。
オススメ漫画の1つなので、興味がある人はぜひ読んでみてください。